太平洋戦争で、兵士としてグアムに行った、横井庄一さん。
終戦後も、28年間、ジャングルで身を隠して生活していました。
パゴ(ハイビスカス)の木の繊維を使った織物でつくった、洋服。
立派な服。
ていねいに、作ってある。
「出来上がったときより、つくっているときの方が、たのしかった」
という、横井さんの言葉。
たまげた。
そんなこと、言えるもんかな。
横井さんのこころは、たくましい。
でも、そのたくましさを更に支えたのが、つくること、なのだろうかと思う。
シショーが言いました。
「ものをつくるとき、かかる時間の長さが、希望になる」
畑で育て、刈り取り、繊維を取りだし、糸をうみ、機にあげ、織る。
からむしでつくる布も、出来上がるまでには、ながい時間がひつようです。
でも、この時間そのものが、希望であり、そのなかでこつこつと生きていけること。
それは、とてもしあわせなことだな。
布になる日は、たのしみ。
布になったら、うれしい。
でも、その途中が、なによりもたのしい。
巡る季節と、流れる景色と共に、そのときそのときのこころと手で、からむしに触ります。
そのときそのときを、繋げていきます。